なだらかに広がる日高山脈を背に、のびのびと過ごす馬の親子…。帯広市郊外、この十勝らしい風景の中に暮らすのは、畑作を営む農家の三代目であるAさんです。
「私が子どもの頃から馬や羊、ロバを飼っていますが、家畜というわけではないんです。両親には、動物たちと触れ合いながら生死を学び、自然を大事にする子に育ってほしいという思いがあって。子どもたちもかわいがっていますよ」 お子さんは学校帰りに畑に寄って農作業を手伝うこともあるのだとか。豊かな自然の中でのびやかに育っています。
さて、これまでは写真左側のご実家で暮らしていたというAさん一家。お子さんの成長に合わせ、広々と暮らせるようにと、今回右側のアイボリーの家を建てました。
設計・施工は帯広市のウッドライフ(富原利光社長)。Aさんが施工事例などを見て気に入りお父さんに相談したところ、なんとご実家も富原社長のお父さんが建てたものだということが分かったという、ご縁を感じる会社です。
実家と新居の間は作業着の着替えや洗濯の可能な作業場でつなぎ、双方の家の勝手口から出入り可能な造りに。農家住宅としても使いやすく設計しました。
「木の雰囲気が好きで、北欧風の家にしたかった」というAさん。床は大工さんが無垢のナラ材を一枚ずつ組み上げたヘリンボーン柄を採用しました。ダイニングテーブルの上に灯るのはデンマークのルイスポールセン社の照明です。
家のあちこちに飾られている北欧の雑貨や食器。
ダイニングの脇にはマガジンラックつきの黒板風マグネットボードを造作しました。「イメージを伝えたら富原さんがデザインして大工さんがその通りに作ってくれて。とことん思い通りにしてくれました」
LDKの一角には小さなデスクスペースも。
農繁期は多忙なAさん。作り置きのために半日キッチンに立つような日にも「全く飽きないくらい」気に入っているというのがこちらのキッチンの空間です。パナソニックのアイランドキッチンは奥行きのあるサイズ。子どもたちと向かい合って調理することも多いそうです。
「このガスコンロは、デザインが気に入ったHARMAN(ハーマン)のプラスドゥという製品をネットで注文して取り付けてもらいました。同じように水栓は使い勝手のよいリクシルのものに変更。気に入ったものを施主支給で自由に使えたのは嬉しかったですね」
ガラス戸つきの食器棚は、富原社長と練ったデザインで音更町のFARMER’Sに製作を依頼しました。
パントリーや洗面所も造作家具や北欧風のクロスで雰囲気を統一しています。
脱衣所には活発な子どもたちの汚れ物も洗えるSKシンクを設置。小便器つきのトイレは農家住宅に多いそうです。
2階ホールはプレイルームと乾燥室を兼ねた多目的スペースです。壁を閉めると客間としても使える造りになっています。
「自分の部屋は静かで落ち着きます。時々、弟が入ってきてうるさいけど」というお兄さんと「この家の全部が好き」という弟さん。広々とした新居での生活を楽しんでいます。
気さくな社長・大工と建てたイメージ通りの家
家づくりについてお話を伺いました。
ウッドライフとの家づくりについて聞かせてください。
富原社長は「写真でも言葉でも『こうしたい』というイメージがあれば全部ください!」と言って、私の理想のイメージをしっかり掴んでくれました。打ち合わせは何でも言える雰囲気で、思いついたらその都度LINEでイメージを送るなど、やり取りも気軽でした。
造作家具なども細かく図面が書かれていますね。
収納は入れるものやサイズを確認して作ってくれたので、ものが思い通りに収まっています。「イメージよりも少し厚みが出てしまうけどいいですか?」など細かい点もしっかり確認してくれたので安心感がありました。
工事中の現場も見ましたか?
ウッドライフの大工さんは皆気さくで「いつでも見に来て」と言ってくれるんです。棚の位置を少しずらしたいなど、現場で相談したことにも臨機応変に対応してくれました。工事が終わる時に名残惜しくなるほど人柄も良く、子どもたちにも人気でした。
住み心地はいかがですか。
部屋は一度暖まればずっと暖かくて快適だし、畑から帰ってくる時の動線も使いやすいです。何より、思い描いた通りのデザインの、とてもリラックスできる空間になりました。家で過ごす時間を「気持ちいいな」「満たされているな」と感じられることが嬉しいですね。
写真 Commercial Photo / Movie SWITCH